日本では働き方改革といわれ、働き方そのものを見直そうという動きがあります。
皆さんの周りには、まだ居残り残業、土日返上で働いている方々はいますか?ブラック企業の烙印を押されそうな会社は沢山あると日本のニュースは報じていました。
私はオーストラリアと日本の両方の会社で働いてみて、そもそも労働に対するその考え方に大きな差があると感じています。
最初は、「えー」「うそ」「まじか」と思うことが沢山ありましたし、どうしても日本のやり方が抜けず失敗したことも数多くありました。
ここでは、どちらが正しいとか正しくないとかではなくて、ありのまま感じたままを、まとめてみました。
ところで私の職場は約70%がオーストラリア人、約30%がアジア人です。文化の違いからくる「ドラマ」が毎日のように職場で起こります。
オーストラリアで働く機会ができた時、また日本で働いていて疑問を感じた時、海外ではどうなんだろうと疑問に思った時など、参考になれば嬉しいです。
オーストラリアで働いてみてわかった、「えー」「うっそー」「マジか…」 職場での「あるある」
「えっ?」仕事おいて帰るの…
オーストラリアの職場では基本的に残業するという考え方はありません。私の職場では終業時間の17時になるとさっさとパソコンを閉じて帰宅します。
仕事が終わっていようがどうかというよりもとにかく就業時間になると帰宅します。
「うっそー」金曜日のランチはパブでビールが当たり前?
金曜日によくあるビジネスランチという名の「サボリ」。(彼らはそうは思っていませんが…)
オフィス街のなかにも沢山のパブがあり、多くのビジネスマンがビールを飲んでいます。日本では考えられない…。
ビール1~2杯くらいはお酒でないと思っているようです。金曜日のランチ時のビールくらい当たり前で、そんなものに目くじら立てるような人いないんです。
「マジか…」カスタマーサービス・コールセンターが定刻前に電話取らない
お客様からの電話を受けるカスタマーサービスも定時の10分前になると電話を取ろうとしません。そんな時間に電話をかけてくる方が悪い。くらいの勢いで考えているようです。
会社のサービスの向上と自分の生活を天秤にかけたとき、自分の生活が大切だと考える考え方がオーストラリアでは容認されているのだと思います。
日本ではこんなことありえない…
オーストラリア人の根底を流れている「Fair Go」(公平にいこう!)
「Fair Go」という言葉を聞いたことありますか。オーストラリアではよく使います。「みんなを公平に扱う」くらいの意味です。オフィスではみんな公平に扱われないとすぐに不平不満になります。
あの人はよくランチに誘われるのに自分は誘われない。部下を持ったら、自分の行動がいつもフェアかどうか考える必要があります。
オーストラリアではちょっとしたことでも不平不満につながります。「Not Fair」だと上司にも平気で感情をぶつけてくるシーンも沢山見かけました。
「Fair Go」はオーストラリアでは根底に流れるとても大切な考え方なのです。
オーストラリアは上司も部下もない、とても「Flat」な社会
面白い統計があります。欧米人は上司をチームワークメンバーの一員だと思う傾向があり、反面アジア人は上司を絶対的な存在で命令服従と思っている傾向があるようです。
日本では上司の顔色を伺いながら発言するというシーンが沢山ありました。オーストラリアでは、それは一切ありません。例え上司がいてもいなくても自分の意見ははっきりと言います。
リーダーは、問題点が見つかれば、みんなの意見を聞いてフェアに解決策を導き出す。それがリーダーの役割なのです。頭ごなしのダメ出しはリーダーとして失格。
職場では、上司も部下もなくみんなファーストネームで呼び合います。MrとかMsとかつけると、浮いてしまって違和感があります。こういうあたりイギリスとは少々事情が違うようです。
オーストラリアは「Diversity(多様性)容認」社会
日本ではマイノリティー(少数派)であることは、なんだか居心地悪いのですね。「あいつちょっと変わってるから」「あいつ付き合い悪いから」「あいつ空気読まないよね」なんて言われるともう主流派でなくなってしまいますよね。
ここではそんなこと気にする人はいません。
オーストラリアは人と違うこと(Diversity)をとても大切にする社会です。
性別にしても、最近はMale(男性)、Femail(女性)、Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bysexual(バイ)、Asex(アセックス)など沢山の種類があります。
What sexuality do you identify with?
I am asex.(どちらにも興味ないかなぁ…)
どんな多様性もリスペクト(Respect)する。自分の主張をきちんとする、他人の意見は尊重する。それがオーストラリアの最大の特徴だと思います。
Commitment(決意)は会社にするものではない
日本では「決意」は会社にするものでした。「責任感を持って仕事をやり抜く」というのは日本の会社のなかで普通に聞かれる言葉です。違和感全然ありません(笑)
しかし、ここオーストラリアでは、Commitmentは会社にするものでなく「家族」にするものだった。
仕事よりも家族へのCommitmentのほうが強いため、仕事が終わろうが終わるまいが、サッサと家路についてしまう。
I have a commitment to my family.
この英語をどう訳せばしっくりくるのかわかりません。でも日本のように会社に忠誠心を持たせる教育というのはここでは違うような気がします。忠誠心とか愛社精神は英語では「Royality」と訳せば良いのでしょうか。
日本とオーストラリア、文化が違うといってもなんでここまで違うのだろう
イギリス帰りのオーストラリア人から聞いた驚くべき言葉
私の経験からすると、ひとつの職場にとどまる年数は5年くらいかなと思っていました。言い方を変えると、とどまってもらえる年数です。
イギリスで11年仕事をして故郷のオーストラリアに帰って来た人から驚くべき話を聞きました。
彼によると、イギリスでは職場平均滞在が2年なんだそうです。1年は仕事を覚えて、もう1年で会社に貢献して自分の価値を高め3年目に転職する。オーストラリアに戻ってきてみんな同じ職場で4年も、5年も滞留しているのは驚きだ…。
5年以内に職を変えるオーストラリア人に驚いていたらまだまだ上手はいました。もちろんみんながみんなそうではないと思います。
仕事はキャリアアップのため、生活のため
日本では仕事と精神修行を重ねて「我慢」することを学ぶ場であるとか言うことがありますが、そんなものオーストラリアでは通用するはずもありません。
仕事は生活のため、家族のためにするものなのです。会社へのロイヤリティを求めるほうが間違っているんでしょうね。
まとめ
オーストラリアと日本の両方の職場を経験して、驚いたこと、違いについて書いてきました。
日本やアジア型のリーダーを中心とした縦組織、オーストラリアのフラットな組織。どちらが良いとか悪いとかでなく、それは決定的に違うのです。
日本では、終身雇用という考え方が崩壊しつつあります。でも考え方の根底にはまだそれが残っていると思われてなりません。
2~3年で仕事を変われば、「我慢がない」などとレッテルを貼られるかもしれませんし、キャリアアップのためにどんどん仕事を変わるとう考えかたもないように思います。
日本はバブル崩壊のあと経済が経済が低迷していますが、一方、オーストラリアの経済は絶好調です。
日本とオーストラリア、働く価値観が大きく違うふたつの国。これからも暫く観察を続けたいと思います。
Life Only Once
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